企画設計シニアアドバイザー/株式会社協進印刷
千田建一
1968年多摩美術大学デザイン科卒。王子パッケージングを経て、2001年に協進印刷へ入社。現在、企画設計シニアアドバイザーを務める。今回は千田氏の協力のもと、段ボールの折りを設計。
PROJECT 03.
1/2段ボールは、四角い段ボールを半分に切るように小型化した新しい配送資材です。小口配送の急増にともなって生産され続ける段ボール箱の省資源、省スペース、処分しやすさを考えました。
私たちの暮らしは、大量の段ボールで溢れています。2022年の国土交通省の調査によると、1年間で50億588万個もの宅配便が運ばれており、その数は10年前と比べて43%増加しています。オンラインマーケットプレイスやECサイトの浸透は、漫画の新刊からハイブランドのバッグまで、あらゆるものが段ボールに入って家に届く便利な生活をもたらしました。
その一方で「超多頻度小口配送の時代」の到来が危惧されています。小口配送が急増することで、物流業界はドライバー不足や長時間労働が深刻化し、特にトラックの積載効率は40%低下したといわれています。私たちにとって、最も身近な容器包装のひとつとなった段ボールの形をいま一度見つめ直すことで、運ぶ人にも受け取る人にもやさしい物流を作ることができないか。そう考えて、1/2段ボールは誕生しました。
「TAKEO PAPER SHOW 2023 『PACKAGINGー機能と笑い』」に出展。配送箱として使っていただけるパートナーを現在募集しています。
従来の段ボールをおよそ半分に小型化。四角形の段ボール1箱分のスペースに2箱置くことのできる形状は、配送や保管時のスペース効率を上げることに貢献します。
三角形の段ボールは、食器やボールなど丸いものを運ぶのに最適です。円形が3つの面によって固定され、箱の中で余計に動きません。力を分散する三角柱の構造は、変形しにくく、頂点への衝撃に強い耐久性を持ち合わせています。
角を一つなくすことで、室内での存在感も新鮮に。これまで空間を圧迫するように存在していた段ボールが、部屋の隅に収まるようになりました。端にそっと身を寄せて、謙虚な顔つきで佇みます。
家に置いている間の、短い付き合いも心地よく。段ボール処分のしにくさを解消するために、フラップにロック機構を設けました。使用後はフラップに入った切れ目を折り込むことで、紐を使わなくても折り畳んだ状態で固定され、かさばることなくストックすることができます。
企画設計シニアアドバイザー/株式会社協進印刷
1968年多摩美術大学デザイン科卒。王子パッケージングを経て、2001年に協進印刷へ入社。現在、企画設計シニアアドバイザーを務める。今回は千田氏の協力のもと、段ボールの折りを設計。