廃棄した紙製食品容器のゆくえ

「紙製容器」はリサイクルの対象ですが、食べかすや油汚れ、においなどが付いている場合は、資源ゴミではなく可燃ゴミとなります。汚れがついていると、処理施設で他のゴミにも汚れを移し、再生品の純度を下げてしまうなどの弊害があるためです。また、容器に耐水・耐油性を与えるコーティングを行なっている場合も、その加工が再生を阻害してしまうため焼却対象とされています。

可燃ゴミが焼却施設に運ばれると、単純焼却されるだけでなく、サーマルリカバリーという方法で有効利用されています。サーマルリカバリーは、燃やすときに生まれるエネルギーを熱や蒸気などとして回収し、発電や周辺施設の暖房、温水供給に活用する手段です。日本では全国の焼却施設のうち、70%がサーマルリカバリーを行なっています(a)。

一方、紙製食品容器を資源ゴミとして出せる場合もあります。その条件は、汚れや匂いがきれいに洗い落とされていること。そして、資源化できるコーティング加工が施されていることです。(食べかすなどの汚れは、さっと洗って落とせれば問題ないようです)
資源化できるコーティングの代表例に、「ハービル加工」があります。揚げもの容器などによくみられる加工で、食品対応の水性ニスを紙に塗布しているため、処理施設で除去しやすく再生への弊害はありません。また、近年の処理施設は紙からフィルムを剥離する技術が向上しているため、プラスチックフィルムを貼りあわせた容器でも、板紙へ再生することが可能になってきています。このように、再生技術が上がることで、リサイクル可能な容器もどんどんと増えていくことが期待されます。