コピー機メーカーから
新素材はなぜ生まれたのか
コピー機メーカーがなぜ素材開発という新しい領域に挑んだのか、共創パートナのみなさまにお伺いしました。
PROJECT 02.
株式会社リコーが開発した植物由来のプラスチック素材
「PLAiR(プレアー)」を使った食品トレーのコンセプトモデルを制作しました。
有機的な楕円状の輪郭や波打つような表面の造形は、
発泡スチロールに代替する素材として誕生したPLAiRが持つ
「植物」と「空気」という2つの性質から着想。
白い素材からは判別できない自然由来であることが形から感じられるよう
躍動する生命力や絶え間ない循環を直感的に表現し、
コミュニケーションにおけるアイコニックな存在として機能します。
また、Webサイトや映像でも一貫して素材への理解をやさしく導き、
新素材が広く深く社会に浸透するための入り口をリコーと共創しました。
容器の素材には、自然由来99%*の発泡シート「PLAiR」を使っています。PLAiRの原料は、植物の糖分からつくられるポリ乳酸という樹脂。そのため焼却処理をした場合はCO2を排出しますが、原料となる植物が育つ過程でCO2を吸収するため、環境負荷の少ない循環が成り立ちます。
PLAiRのコンセプトモデルは、自然由来の素材であることが手に取って感じられるよう、四方に角を持たない有機的な形状をしています。縁まで波打つように広がる円環は、模様や色を印刷しないまっさらなトレーにも静かなリズムとアクセントを与え、食品を美しく引き立てます。
大中小の3サイズの容器は、実際に流通している刺身容器の幅を参考に展開しています。また3つを組み合わせると、ゆるやかな正方形のまとまりを持つユニットとして機能します。スーパーの売り場やパーティ会場のテーブルに並べられた際にも無駄なスペースを発生させず、新鮮な見え方を演出できるよう構成しました。
発泡加工は、原料である樹脂を数十倍に膨らませる技術です。発泡させてできあがったPLAiRは多くが空気でできているため、容器1つあたりの原料の消費量が比較的少なくなります。これまでポリ乳酸の安定した発泡は難しいとされてきましたが、リコーが開発した「超臨界CO2発泡制御技術」によって、植物由来の発泡容器が実現しました。
* 植物由来プラスチック(PLA)と天然素材のフィラー(発泡核剤)の使用割合。
プリンターなどの事務機器メーカーから「デジタルサービスの会社」への変革を進めている。2020年に植物由来の新素材「PLAiR」を発表、2023年に食品容器対応を開始。今回は共創パートナーとしてPLAiRの素材提供・製造などに関する領域を担当。